「AI・半導体一極集中相場からの揺り戻しは、むしろチャンス〜」
[1] AI・半導体一極集中相場の背後で
現在も、「AI・半導体一極集中相場」は
続いています。
しかしながら、今さら乗ってはいけません。
その根拠は簡潔で、PBR・PER・配当利回りが
ナンセンスなくらい高いからです。
前回のこのメルマガで、「日本株の中で、
AI・半導体関連の代表格として、よく取り
上げられる8つの銘柄」として、次の8つを
挙げました。
(銘柄コード順)
(1) SUMCO (3436)
(2) 信越化学工業 (4063)
(3) ディスコ(6146)
(4) ルネサスエレクトロニクス (6723)
(5) アドバンテスト(6857)
(6) レーザーテック (6920)
(7) SCREEN HD(7735)
(8) 東京エレクトロン(8035)
以下で、この8つの銘柄に加えて、今話題
の「キオクシアHD (285A)」も入れて、PBR・
PER・配当利回りを見てみましょう。
その下に、日経平均株価とプライム全銘柄
のPBR・PER・ROE・配当利回りを比較のために
掲記します。
算出の基礎となる株価は6月14日の終値
です。予想値ベースのEPSの値と配当額が
「未定」とされているものは、前年度の
確定値を用います。
また、値そのものが公表されていない
場合は「−」と表記します。
(なお、ここでは1行の記載の幅に制約が
ありますので、銘柄名を短くしてあります。)
PBR PER ROE 配当利回り
KIOXIA (285A) 31.7倍 79.3倍 39.9% 0%
SUMCO (3436) 2.0倍 マイナス マイナス 0.5%
信越化 (4063) 3.0倍 28.4倍 10.5% 1.5%
ディスコ (6146) 14.8倍 293.8倍 5.0% 0.6%
ルネサス (6723) 3.1倍 − − −%
アドバン(6857) 24.9倍 42.6倍 58.5% 0.2%
レーザー (6920) 17.5倍 54.9倍 31.9% 0.7%
SCREEN (7735) 5.4倍 24.0倍 22.5% 1.3%
T.エレク (8035) 15.1倍 54.2倍 27.9% 0.9%
日経平均株価 1.88倍 17.7倍 10.6% 1.5%
プライム全銘柄 1.72倍 17.2倍 10.0% 2.4%
もう、失笑の先にある大爆笑を誘うのは、
「KIOXIA」のPBRの値(31.7倍)と「ディスコ」
のPERの値(293.8倍)ですし、他にも、抱腹
絶倒の値が満載です。
PBRの値で「31.7倍」は、初めて見ました!
PERの値じゃないんだから!(笑)
それに、PERの値が「293.8倍」で、ROEの値も
「5.0%」なのに、PBRの値が「14.8倍」って、
何、それ!?(笑)
それ、「成長期待」だけで株価が膨れあがってる
けど、「期待」は「気体」のように、すぐに
消えてなくなっちゃうよ!、って!
(上手い! 座布団1枚、取り上げて!
「取り上げる」んかぁい!:苦笑)
成長期待に溢れた企業の配当利回りが低く
なるのは theoretical に(理論的に)正しい
ので、それはさておきましても、これらの
PBRの値とPERの値には、色々と楽しませて
いただきました!
ちょっと難しい話になりますが、PBRの値
というのは、(1+ROEの値)の乗数で説明
できます。
と言いますのも、ROEの値というのが、その
企業の成長率を表していますので、1年後
には、(1+ROEの値)の成長をしますし、
2年後には、(1+ROEの値)の2乗の成長を
します。
つまり、ROEの値が10%の企業について、
1年後の成長までを織り込めば、PBRの値は
「1.10倍」になりますし、2年後の成長まで
を織り込めば、PBRの値は(1.10の2乗で)
「1.21倍」になる、というのが理論的に妥当な
PBRの値だ、ということなのです。
そして通常は、ある企業の成長性、つまりは
将来の収益力を評価する場合は、織り込まれる
将来というのは、「3年先か、せいぜい5年先」
まででしょう。なぜなら、それより先のこと
なんて、どうなるかは予測がつかないからです。
この理論的な枠組みに沿って、日経平均株価
に関するPBRの値とROEの値を見てみますと、
日経平均株価全体についても、株式市場の
参加者が「6年先」までの成長性(=収益性)
を織り込んでいるのだ、ということがわかり
ます。
(1+10.6%)の6乗が、およそ「1.83」
だからです。
すなわち、日経平均株価のPBRの値(1.88倍)
でさえ、やや高めなのです。
そして、PBRの値が大爆笑級にド高い「KIOXIA」
と「アドバン」に、この理論的な枠組みを当て
はめて、妥当なPBRの値を算出してみます。
この計算においては、日経平均株価と同じ
ように、「6年先まで」を織り込むと考えて、
計算には「6乗」を用います。
KIOXIA
(1+39.9%)の6乗 = 7.5倍
アドバン
(1+59.5%)の6乗 = 15.9倍
ROEの値が「39.9%」や「59.5%」という
ように猛烈に高い企業のPBRの値は、理論的
にも、さすがに目を見張るほど高い値でも
「妥当だ」ということにはなりますね。
それにしても、現状の株価は説明できない
ほど高いということが明白になりました。
(次の比較のとおりです。)
KIOXIAのPBRの値
理論上、妥当な値は、 7.5倍
現在の株価−−−−−31.7倍
アドバンのPBRの値
理論上、妥当な値は、15.9倍
現在の株価−−−−−24.9倍
<結論>
KIOXIAは、すごくヤバい。(笑)
アドバンも、充分にヤバい。(笑)
さて。
あまり皆様が言いたがらないようですので、
私がここで明言します。
「AI・半導体関連銘柄は、紛うことなき
バブルです。
そして、バブルは早晩、弾けます。」
さらには、AI・半導体関連銘柄を今
買っている人は、ファンダメンタルズの
諸指標(主に、PBR・PER・ROE・配当利回り
のこと)をご存じないのか、わざと無視
しているのか。。
これはもう、「仕手株」と同じです。
こんな銘柄を手がけるのは、さすがに
「博打」です。
私は株式投資を博打だとは全く思って
いませんし、株式市場で博打をしては
いけないと確信しています。
[3] NY市場における大型上場が
意味すること
つい先日、NY市場において「Space X」
が超大型の上場を果たしました。
そしてこれからもまだ、NY市場では
「OPEN AI」や「Anthropic」といった大型
の上場が予定されています。
通常は、こういった巨額の新規上場が
行われますと、巨額の資金がそれに向かう
ため、他の銘柄が売られたりして、市場
全体の株価水準が下がってしまうという
ことが懸念されます。
しかし、今の人気銘柄の資金吸引力は
強烈なので、もともと株式市場には存在
しなかった資金を呼び込むためか、
「Space X」が上場した時には、あまり
大きな下落は示現していません。
日本でも昔から、何らかの大型上場が
あると、株式市場では「需給の悪化」が
懸念されてきました。
つまりそれは、巨額の資金が、ある
一定の偏った方向にシフトしてしまう
ことによって、資金が枯渇してしまい、
それによって需給バランスが崩れて
しまうということが起こるのです。
この現象をここでは「資金の一時的な
偏在」と名付けます。
現在の日本の株式市場では、大型の
上場があるわけでもないのですが、
AI・半導体関連銘柄に資金が偏り
すぎて、「AI・半導体以外」の銘柄
の株価が売り込まれる、という現象が
起こっています。
この現象も「資金の一時的な偏在」
であると考えています。
「AI・半導体相場」がいつ終わるのか
は予想できません。もうすぐ終わるのか、
あと1〜2年続くのか。
いつ終わるのかはわかりませんが、
間違いなく起こることは、AI・半導体
銘柄を高値で売り抜けた資金が、他の
「AI・半導体以外」の銘柄に流れて
くるということです。
(AI・半導体銘柄を高値で売り抜けた
資金が、再びAI・半導体銘柄が安値に
なった時に、その同じ銘柄に流れ込む
ということもあります。それを昔は
「ディーリング商い」と言いました。
でも、その「ディーリング商い」も
いつかは終わって、AI・半導体銘柄
を高値で売り抜けた資金は、「AI・
半導体以外」の銘柄に流れてくる、
というわけです。)
前回もお伝えしたように「NT倍率」
が異常なほど高い値になっています。
それは現在も続いており、本日15日
には「17.34倍」という高値を付けて
います。
これは、揺り戻しが必ずややって
来ます。ただし、これも、どこまで
上がってから揺り戻しが始まるのかは
特定はできません。ただ、もうあまり
遠くないのではないか、と考えています。
(その理由は、下の「* 「AIバブル」
の歴史的事実」のところで述べます。)
「NT倍率」の揺り戻しが起こる
ということは、次の3つのうちの
いずれかの経路を辿ることになります。
(1) 日経平均株価(N)が大きく下がる
(2) TOPIX(T)が大きく上がる
(3) 日経平均株価(N)が下がり、TOPIX
(T)が上がる(折衷型)
そして、AIバブルの崩壊が起これば
(1)が具現化します。AI・半導体関連
銘柄が日経平均株価を大きく引き上げて
いるというのが実状だからです。
次に(2)ですが、実は、TOPIXも日経
平均株価ほどの上昇率ではないですが、
史上最高値にはなっているので、TOPIX
がこれ以上大きく上がるというのは、
やや考えにくいです。
ですから、近日中に一番起こりやすい
のは、(3)の「折衷型」であろうと考え
ています。
本日は、日経平均株価はもちろん、
TOPIXも史上最高値にはなっています
ので、ここからはどちらも、いくらか
の調整局面になる可能性が高いですが、
その後に、戻り高値を形成する過程では、
「NT倍率の揺り戻し」が始まるのでは
ないかと考えています。
* 「AIバブル」の歴史的事実
今は、2000年5月までの「ITバブル」
の時と同じ匂いがします。ITの発展は、
人類の進歩にとって革命的でした。
ITの恩恵は、あれから四半世紀を
経た今でも、絶大な範囲で続いています。
ひとたび世に出た科学技術は、「ずっと
続いて存在する」のです。
ですから、AIも、これけらの生活には
ずっと存在するでしょう。
しかしなから、「ITバブル」でさえ、
1995年12月から2000年5月までの4年半で
弾けました。
(ここでは、1995年12月に「Windows 95」
がリリースされたのを「IT革命」の起点
としました。)
「AIバブル」も「ITバブル」と
同じです。むしろ、AI技術というのは
IT技術の応用でしかないので、ネタ
としては「IT」よりは小粒です。
そして、Chat GPT がリリースされた
のが「2022年11月」ですから、現在で
およそ「3年半」が経過しています。
このようなことから考えますと、
「AIバブル」の余命は、
「もって、あと1年」
といったところでしょう。
(Dr. サカキの余命宣告です;笑)
そして、何といっても、市場の資金が
AI・半導体関連銘柄に偏りすぎている
ことに起因して、「AI・半導体以外」
の銘柄のうちの優良銘柄に「売られすぎ」
の銘柄が散見されるのです。
こういう時こそ、「優良銘柄を安値で
仕込むチャンス」なのです。
バカみたいに高くなってしまっている
AI・半導体関連銘柄には「高値づかみ
のリスク」が満載です。
そんなものには一切見向きもせずに、
しっかりと地に足を付けた投資活動を
地道に続ける方が、リスクが桁違いに
小さくて済みます。
従来型の優良企業の安値を狙う投資
手法でも、充分な利益チャンスは
ちゃんとあるのです。
[4] 市況展望 (執筆日時:6月15日 20時)
では以下で、6月15日のデータを
見ておきましょう。
<6月18日のデータ>
日経平均株価 −−−−−− 69,317円
日経平均のEPSの値 −− 3,782円
日経平均のPERの値 −− 18.33倍
日経平均のBPSの値 −− 35,547円
日経平均のPBRの値 −−− 1.95倍
日経平均のROEの値 −−− 10.6%
日経平均の配当利回りの値 − 1.49%
日足のRSIの値 −−− 63.04
日足のストキャの値 −− 74.44
週足のRSIの値 −−− 86.83
週足のストキャの値 −− 81.86
月足のRSIの値 −−− 81.39
月足のストキャの値 −− 95.44
ドル建て日経平均の値 −− 432.90ドル
前回(5月18日に)配信したこの
メルマガで、
「『当面は調整局面入りする』という
のが順当です。
ただ、これも順当に考えれば、調整
の幅はあまり大きくはならないと考え
られます。なぜならば、今年の2月末
からの「中東ショック」をこなして
きていますので、よほど想定外の
悪材料が飛び出さない限り、テクニカル
的に観て、13週移動平均線に接する
くらいまでの下落で止まりそうです。
現時点では、「13週移動平均線に
接する」水準は。「58,000円前後」
です。」
と述べました。
実際には、その2日後に、日経平均
株価は「59,292円」で下げ止まりました。
想定よりも底堅い展開となり、いよいよ
69,000円台に乗せてきました。
前回のこのメルマガでは、
「やはり、インフレが進行していること
によって、企業業績が伸張して、日経
平均のEPSの値が『3,495円』という
非常に高い水準になっています。
『3,495円』に単純に『20』をかけると
(すなわち、PERの値が20倍、または
益回りが5%とすると)、日経平均
株価の水準は7万円に限りなく近く
なります。
たしかに、私も、近未来的には
日経平均株価が7万円になっても
不思議はないと考えていますが、
それが現実のものになるのは、
『今すぐではない』とも考えて
います。
その理由としては、日経平均株価
のようなマクロの指標は、急激に
変化することは稀だからです。
<中略>
もし、日経平均株価が一気に駆け
上がるようですと、それは明らかに
『AIバブル』ですので、警戒が
必要です。」
と述べました。
現実には、明らかに速すぎる
ピッチで日経平均株価が7万円に
近づいてきていますので、前回と
同じことを繰り返します。
「今は、明らかに『AIバブル』
ですので、警戒が必要です。」
現時点では、全てのオシレータが
高水準になっていますので、チャート
的には、「高値警戒感 MAX」です。
[5] 今年の秋に向けて
ところで、トランプ氏はやはり
中間選挙でよほど勝ちたいとみえて、
オヤクソク通り「TACO」って
います。
この調子ですと、11月の中間選挙
の少し前くらいまでは、大きな調整
局面はなさそうです。
しかしながら、現在までの情勢
では、トランプ氏は中間選挙で
勝てそうにありません。
中東戦争を長引かせすぎて、平和
主義者の反感をかい、生活面でも
米国内でのインフレを抑えられて
いないからです。
トランプ氏の敗北は、トランプ
政権のレームダック化を招き、
アメリカにおける政局不安の原因
になりますので、その少し前くらい
からは、比較的大きな下落が発生
するのではないかと考えています。
P.S.
7月の下旬に、拙著の最新刊が
上梓されます。
それに伴いまして、今月の下旬
には「タイトルと目次」が確定
しますので、今月の下旬には
「タイトルと目次」をお知らせする
「号外」を配信する予定です。
宜しくお願いいたします。
<今回は以上です。>
|