兜町大学教授の教え 無料メルマガ No.283 (2026年2月15日)


「当面は横ばい相場を想定」

 
 いつものように市況を展望します。


[1] 市況展望 (執筆日時:2月15日 18時半)

 過去1ヶ月の日経平均株価を振り返ります。「過去
1ヶ月」というのは、通常ですと1月16日以降のこと
を指しますが、今回は1月9日(金)の引け後に衆議院
解散が囁かれたことによって、週明けの13日から相場が
大きく動きましたので、そこから振り返ります。

 1月13日には日経平均株価が大幅高となり、14日に
「54,487円」の史上最高値が付きました。翌15日の
終値は「54,110円」でした。
 この時点で、日経平均株価は、かなりの高値圏に
到達していたため、1月16日に配信したこのメルマガ
におきまして、「高値警戒警報発令〜!」と題して、
高値に対する警戒警報を発令しました。

 その直後から、日経平均株価は下落して、1月21日
に「52,194円」の安値を付けました。
 やはり、5営業日で「4.2%」の下落が発生しました。
 その後、2月3日に「高市自民 優勢」という確度
の高い情報が流れるまでは、1月14日・15日の
「54,000円台」が高値で、「52,000円台〜54,000円台」
の高値圏でのもみ合いが続きました。

 そして、周知のように、高市自民圧勝を受けて、
2月9日と10日には猛烈な勢いで最高値を更新し、
2月12日には「58,015円」という未曾有の史上
最高値を付け、少し下がって現在に至っています。
(13日の終値は「56.961円」。)

 以下で、2月13日時点の各種の指標をザッと概観
してから、今後のことについて考えて参ります。


[2] 2月13日時点の各種の指標

 では、2月13日時点における日経平均株価の
ファンダメンタルズ指標とテクニカル指標を簡潔に
概観します。
(「ストキャスティクス」を「ストキャ」と略して
表記します。)


<2月13日のデータ>

日経平均株価の終値 −−− 56,941円 (1月15日 54,110円)
日経平均のEPSの値 −−  2,756円 (1月15日 2,650円)
日経平均のPERの値 −−  20.66倍 (1月15日 20.42倍)
日経平均のBPSの値 −− 31,116円 (1月15日 29,731円)
日経平均のPBRの値 −−− 1.83倍 (1月15日  1.82倍)
日経平均のROEの値 −−− 8.9% (1月15日   8.9%)

日足のRSIの値 −−− 65.98 (1月15日 73.38)
日足のストキャの値 −− 88.39 (1月15日 91.81)
週足のRSIの値 −−− 72.41 (1月15日 66.46)
週足のストキャの値 −− 80.09 (1月15日 85.67)

ドル建て日経平均 −− 371.65ドル (1月15日 341.28ドル)


<コメント>

 この2月13日のデータからは次のようなことが
考えられます。

(1) EPS・PER・BPS・PBR・ROEの値
  について

 日経平均のEPSの値は「2,756円」で、史上
最高値の水準になっています。そのため、日経平均
株価が1月15日よりも2,831円も高い史上最高値圏で
推移していますが、PERの値はあまり変わって
いません。
 ただし、PERの値が「20倍超え」というのは、
これまでの常識では、依然として「高過ぎる水準」
であることには変わりありませんので、ハイレベル
の警戒は必要です。

 次に、日経平均のBPSの値についてです。
 BPSの値が「31,116円」となっていて、
31,000円台に乗せてきました。
 それにしましても、日経平均のROEの値が、
相変わらず「8.9%」に留まっており、あまり
高くはない水準なので、その意味でも、ハイ
レベルの警戒は欠かせません。

 なお、PBRの値は「1.83倍」で、1月15日の
値(1.82倍)とあまり変わっていません。これも、
PERの値と同じように、BPSの値が
「31,116円」と、かなり大幅に増加したため、
日経平均株価の水準が史上最高値圏でもPBRの
値はあまり変わらない、という現象が生じています。

 つまり、日経平均株価が史上最高値圏の
「57,000円前後」であっても、ファンダメンタルズ
指標から判断しますと、

「バブルというほどには高くはない。ただし、
 バブルではなくても、かなりの高値圏だ」

というのが、これらの数値からみた客観的な認識
であろうと考えられます。

 なお、ドル建て日経平均の値(371.65ドル)は
史上最高値圏です。
「外国人が高市政権を高く評価していて、日本の
『変化』を買っている」
といった解説が聴かれますが、この解説には説得
力がありません。
 ほとんど同じような解説をアベノミクスの始まり
の時にも聴きました。その時は、この解説には一定
の説得力がありました。
 なぜなら、その時点の日経平均株価は10.000円に
やっと届くかどうかの水準でしたし、各指標は次の
ような、隔世の感がある低い水準だったからです。
そして、伸びしろがもの凄くあったからです。

 たとえば、アベノミクスが始まる直前の2012年
12月14日のデータを見てみます。


<2012年12月14日のデータ>

日経平均株価の終値 −−−  9,737円
日経平均のEPSの値 −−    622円
日経平均のPERの値 −−  15.66倍
日経平均のBPSの値 −−  9,547円
日経平均のPBRの値 −−− 1.02倍
日経平均のROEの値 −−− 6.5%

 現時点のこれらの指標をここに再掲します。

日経平均株価の終値 −−− 56,941円
日経平均のEPSの値 −−  2,756円
日経平均のPERの値 −−  20.66倍
日経平均のBPSの値 −− 31,116円
日経平均のPBRの値 −−− 1.83倍
日経平均のROEの値 −−− 8.9%


 2012年12月14日の時点は、日経平均のEPS
の値(622円)と日経平均のROEの値(6.5%)が
非常に低かったため、日経平均株価の値と日経
平均のPBRの値(1.02倍)も非常に低かった
のです。

 2026年2月13日現在と比較すると、

日経平均株価の終値 −−− 約5.85倍
日経平均のEPSの値 −− 約4.43倍
日経平均のPERの値 −− 約1.32倍
日経平均のBPSの値 −− 約3.26倍
日経平均のPBRの値 −− 約1.79倍
日経平均のROEの値 −− 約1.37倍


 このように、高市政権と第二次安倍政権は
「色々な面で似ている」と評されていますが、
日経平均のファンダメンタルズ指標は全然
違うのです。
 ですから、「外国人が高市政権による日本
の『変化』を買っている」という解説には
説得力がなく、的を射るものではありません。

 むしろ外国人は、非常に高い水準にある
現在の日経平均のファンダメンタルズ指標や
突出して史上最高値圏にあるドル建て日経
平均の水準を冷静に観ているはずです。

 ただし、外国人は(そして私自身も)
「日本のインフレはまだ続く」ともみて
います。
 なぜなら、欧米のインフレのレベルは、
もっと高いところまで到達していますし、
ここにお示ししたようなファンダメンタルズ
指標の面からも、欧米の株式に比べれば、
日本株にはまだ若干の割安感が残存している
からです。


[3] 日経平均株価の今後の方向性に関する
  見解

 これまで2013年の年初以降の13年間が
ずっとそうであったように、日経平均株価
は、

「グッと上昇しては、横ばいが続き、
 一定の期間、横ばいが続くと、また
 大きな上昇波動が始まる」

ということを繰り返してきました。
 これこそが、

「インフレを反映して、資産価格が上昇
 (増価)していく典型的な軌跡」

だからです。
(価格や価値が上がることを「増価」と
いいます。)

 これを「ジ・インフレ」と名付けます。
「ジ・インフレ」とは、
「インフレそのもの!」
と訳します。

 これからも、「ジ・インフレ」の増価
パターンは続くと考えられます。
 なぜならば、そうしないと、借金だらけ
の日本経済が破綻して、「地獄のハイパー
インフレ」に襲われてしまうからです。
 ですから、政府も日銀も、この13年間
ずっとインフレ政策を推し進めてきましたし、
今後も無期限にこれを続けざるを得ない
でしょう。
 日本政府は国債で、そして国民の多くは
住宅ローンで借金漬けですから、政策金利
を上げられる余地はもうあまりありません。
 政策金利をもうあまり上げられないので
あれば、インフレは一向に止まらないのです。

 また、上で見たように、日経平均のEPS
の値(それはすなわち、日経平均に採用
されている企業の利益)の増価にほぼ比例
して、日経平均株価が増価してきました。
 13年も前から株式市場では「ジ・インフレ」
が始まっていて、現在も進行中で、当分
収まらない(収めることはできない)のです。

 年単位の長い目で観れば、日経平均の
EPSの値(企業利益)はインフレに連動
して大きくなりますので、日経平均株価も
それに連動して増価していくでしょう。

 ただし、上に書きましたように、
「ジ・インフレ」の増価パターンは、

「グッと上昇しては、横ばいが続き、
 一定の期間、横ばいが続くと、また
 大きな上昇波動が始まる」

です。
 なので、このところ「グッと上昇して」
きた日経平均株価は、そろそろ「横ばいが
続く」時期を迎えるでしょう。

 上で見たファンダメンタルズの各指標
が、かなり高いので、ここからの上昇の
余地は限定的ではないかと考えています。
 第3四半期決算もほぼ出揃いました
ので、これからEPSの値が大幅に
増えることはあまりないはずです。
 ですから、少なくとも今年の4月〜
5月の本決算発表の時期までは、
「49,000円〜58,000円」
のボックス圏で推移するのではないかと
考えています。
 このボックス圏は、主に日経平均株価
のチャートから導出しました。


[4] 「額」ではなく「率」で考える

 なお、ここでお示ししたボックス圏の
幅が「9,000円」もあって、幅が大き
すぎるのではないかと感じた方は、
投資家としてのセンスを見直す必要が
あろうかと存じます。
 と申しますのも、このメルマガで以前
から述べていますように、投資家は、

「『額』ではなく、『率』で考える」

ということが必須だからです。

 「49,000円〜58,000円」の中央値は
「53,500円」で、「49,000円〜58,000円」
というのは、中央値の「53,500円」から
「上下に8.4%」の振れ幅です。

 そしてこれは、日経平均株価が
「30,000円前後」だった時に、「27,500円
〜32,500円」というボックス圏を立案した
のと同じことなのです。
 これなら普通のかんじですよね。

 であれば、日経平均株価が現在の水準で
「49,000円〜58,000円」というボックス圏を
立案するのも「普通のかんじ」なのです。

 ちなみに、この
「『額』ではなく、『率』で考える」
ということは、投資家各位の「利益」や
「含み損益の変動」にも適用すべきなの
です。
 すなわち、投資額が100万円の時は
「5%」の利益や含み損益の変動による
「額」は「5万円」ですが、投資額が
1億円の時は「5%」の利益や含み損益
の変動の「額」が「500万円」になるの
です。

 投資額が100万円の時の「5万円」と、
投資額が1億円の時の「500万円」は
「率」は同じなので、投資家自身か受ける
精神的なインパクトも同じでなければ
ならないのです。
 つまり、投資額が大きくなるにつれて、
「率」が同じでも、「額」は大きくなって
いきますので、そういった「額」に慣れて
いくことも非常に大事なことなのです。

 なお、今回はオシレーターの値に関し
ましては、特筆すべきことはありません。


<今回は以上です。>




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