「期待による高値は、脆弱」
まずは、いつものように市況を展望します。
(執筆日時:9月16日 25時)
[1] 過去1ヶ月を振り返ります
過去1ヶ月の日経平均株価を振り返り
ますと、8月18日に「43,452円」でしたが、
9月1日までは緩やかな下落が続き、1日に
「41.835円」の最安値が付き、2営業日
後の9月3日に「41.835円」が付きました。
そこからは上昇トレンドになり、16日
には、遂に45,000円台に入りました。
これまでのメルマガでは、「42.000円
を超える水準は高値圏であり、43,451円
(8月13日)を一気に抜くのは難しいだろう」
という見解を表明してきましたので、その
予想は上向きにハズレてしまいました。
石破政権が交代することへの期待と
インフレ圧力がその原因であろうと考え
られますが、日経平均株価が「43,000円」
を超える水準は、現在の日本経済の
ファンダメンタルズから考えて、明らかに
高値圏である、という状況には変わりは
ありません。
その根拠は、9月12日時点における
各種の指標です。
次の[2]でそれらを簡潔に概観します。
[2] 9月16日時点の各種の指標
では、9月16日時点における日経
平均株価のファンダメンタルズ指標と
テクニカル指標を簡潔に概観します。
(「ストキャスティクス」を「ストキャ」
と略して表記します。)
<9月16日のデータ>
日経平均株価の終値 −−− 44,902円
日経平均のEPSの値 −− 2,471円
日経平均のPERの値 −− 18.17倍
日経平均のBPSの値 −− 27,890円
日経平均のPBRの値 −−− 1.61倍
日経平均のROEの値 −−− 8.8%
日足のRSIの値 −−− 75.59
日足のストキャの値 −− 93.75
週足のRSIの値 −−− 82.03
週足のストキャの値 −− 89.02
ドル建て日経平均 −− 305.74ドル
<コメント>
この9月16日のデータからは次の
ようなことが考えられます。
(1) 日経平均のEPSの値とPERの値
日経平均のEPSの値は、2,471円に
なっていて、
5月−−− 2,383円
6月−−− 2,457円
7月−−− 2,537円
8月−−− 2,432円
9月−−− 2,471円
というように、8月よりは少し増えて
います。
昨日までに第1四半期における企業
業績は概ね出揃っており、増益トレンド
を維持できなかったということが明らか
になりました。
しかしながら、その増益分は微増です。
PERの値や、その他の指標も、
明らかに高値であることを示して
いますので、現時点において45,000円を
超えているのは明かに「高値圏である」
と考えています。
この水準では、引き続き「売りはあれ
ども、買いはなし」です。
(2) その他の指標
日経平均のPBRの値も「1.61倍」
で、稀にみる高さです。
日経平均のROEの値は「8.8%」
で、冴えません。
また、PERの値の値が高いのは、
「増益期待」で説明されますが、
PBRの値が高くなっているのは、
「先行きのインフレを先取りしている」
としか説明できません。
現在の株高の最大の原因は、インフレ
でしょう。
それが証拠に、「金価格」も1グラム
19.000円を超えてきています。
このメルマガで何年も前からお伝え
してきている「インフレ」が、いよいよ
顕在化してきた、ということです。
ただし、まだ「序の口」です。
なぜなら、海外は、もっとインフレが
進んでおり、それが「透明の黒船」
となって、これからもまだどんどん
日本に圧力がかかってくるからです。
RSIの値とストキャの値は、
日足も週足も非常に高いです。
インフレ経済は、まだ向こう何年も
続くでしょう。続かないとしたら、
それは「大震災・未曾有の大不況・
第3次世界大戦」といった大きな困難
が勃発した場合であり、そうなったら
シナリオの変更は、やむなしです。
でも、そういうことにならない限り、
向こう何年もにわたって、インフレ
経済は続くでしょう。
資産インフレは12年半前から始まって
いますが、物価のインフレも伴う本格的
なインフレは、2022年2月のウクライナ
侵攻からですから、まだ3年半しか
経っていません。
戦後から1990年末まで40年もインフレ
が続き、それから22年もデフレが続き
ました。そして、それから10年は資産
だけがインフレになりました。
このように、インフレとデフレの
周期は10年単位なのです。
ですから、インフレは、まだあと
8年以上続くでしょう。
(3) ドル建て日経平均株価
ドル建て日経平均 −− 305.74ドル(再掲)
ドル建て日経平均株価は、ドルを
基軸とする外国人投資家の目線から
見た日経平均株価です。
9月12日時点のドル建て日経平均
株価は「305.74ドル」で、史上最高値
です。
現在は、「AIバブル」の様相を
呈しています。日経平均株価も「AI
関連銘柄」に引っ張られているのが
明かです。
「AIバブル」が後退する局面では
日経平均株価が比較的大きめに調整を
することになりそうですが、その際
には、「AI関連銘柄」以外の銘柄
に資金が回ってくる可能性があります。
市場参加者は「貪欲 (greed)」なので、
上がった銘柄を売った資金は、まだ
上がっていないセクター(分野)を貪欲に
探し回るのです。
[3] 高値圏における適正な対応
以上のように、日経平均株価が
45,000円に達している現在の水準は、
明らかに高値圏です。
ただ、自民党総裁選での「高市期待」
やインフレの伸展ということを先取り
して、上昇波動を開始した可能性も
ありますので、ここからもう一段高が
あってもおかしくはない局面になって
いる可能性もあります。
以下で、高値圏における適正な
対応について述べていきます。
(この[3]は、前回のメルマガに
書いた内容のコピペに、一部、加筆
修正したものです。)
(1) 見送りもOK
株価が高値圏にあると認識した
場合は、当然ですが「買いは見送る」
ということになります。
ただし、この場合に、この行動が
正解とならない唯一の事象があります。
それは、「もっと高くなった場合」です。
たとえば、(私は「ない」と考えて
いましたが、)このまま日経平均株価
が上昇し続けて、一気に45,000円や、
それ以上になる場合というのが最も
わかりやすいでしょう。
そして、今がそういう事態ですが、
この43,000円からの上昇分は「一回
見送ればいい」のです。
すなわち、ここから日経平均株価が
45,000円や、それ以上になる場合、
そのワンチャンスだけは見送ればいい
のです。そして次に、日経平均株価が
下がってきて、40,000円や、それ以下
になった時から再スタートすればいい
だけなのです。
つまり、高値づかみのリスクを避けた
代償として、一回転分のリターンを
取り損ねる、というだけですから、
理に適っています。また、高値づかみ
をしてしまって、その後処理をすること
に比べたら、一回見送る方が、とても
楽なことです。
今は、日本や世界の市場参加者が、
「日本株は、どこまで上がるのか?」
という思いを持ちながら、市場に参加
している状況です。
これは、トランプゲームの「ババ抜き」
の状態ですから、ババを引きたくなかったら
見物客になっているのが一番です。
「見物客になっている」というのは、
「安値になるのを待っている」という
ことです。
(2) 戻り高値で売り上がればいい
高値圏では買いを見送るわけですが、
トントンかプラスのものは売っていく
わけです。
持ち株を全て売り切った場合には、
この(2)に述べることは該当しません
が、多くの場合、いくらかの株は
保有を継続していることがあります。
すなわち、日経平均株価が最高値圏
にある時でも、過去の高値で買った
銘柄が、まだ買い値まで戻っていない
というような場合が、これに該当します。
このような保有株については、無理に
損切りをして売りきるのではなく、保有
を継続すればいいのです。
保有を継続しておけば、配当を受け
取ることができますから、買い値に戻る
までは、それこそ、「長期保有」を決め
込んでおけばいいのです。
無理に損切りをしても、その後に株価
が上がることもあるのです。
全ての銘柄が日経平均株価の騰落と、
完全に同じではないわけですから。
そして、もしも想定外に日経平均株価
が上がって、これらの保有株がトントン
かプラスになったら、順次、売っていけば
いいのです。
ですから、キャッシュポジションが
100%になっている人以外は、想定外の
株価上昇によるメリットも享受できる
のです。
これが、「売りはあっても、買いは
なし」の正しい姿勢です。
(3) 当面の下値のメド〜強気編〜
今後の下値のメドは、最も強気で
観た場合、日足の25日移動平均線に
接する辺りではないかと予想して
います。
9月16日の時点で言えば、それは
「43,100円前後」です。今年4月7日
のトランプ関税ショック以降、日経
平均株価は、日足の25日移動平均線
に接するか、少しだけそれを割った
ところで下げ止まって切り返しして
きています。
(それらは、6月2日・6月13日・
7月14日・8月4日です。)
そして、9月1日と3日の安値も
この「日足の25日移動平均線に
接するか、少しだけそれを割る」
範囲に収まっています。
ですから、これまでのインフレ
圧力が急激に減じるような事態が
勃発しない限りは、この「日足の
25日移動平均線」が当面の下値に
関する強気のメドになるでしょう。
(4) 当面の下値のメド〜弱気編〜
一方で、なにせ、企業業績がまだ
上がってきていません。日経平均の
EPSの値は「2,471円」で、PER
の値は「18.17倍」です。
「18.17倍」というPERの値は、
「異常値の一歩手前」です。
市場参加者は、「トランプ関税に
一定の目処がたったから、企業業績
は上方修正になる」と期待しています。
その期待通りになるならばいいの
ですが、そうならなかった場合には、
中規模クラスの下落、すなわち「15%
程度」の下落がやって来ます、
たとえば、ざっくりとですが、
45,000円の15%OFFは、「38,250円」
です。
企業業績が上方修正になっても、
これまでの最高値である「2,545円」
までしか伸びなかったら、理論的に
妥当なPERの値は「16.6倍」程度
ですから、
2,545円 × 16.6倍 = 42,247円
ということで、日経平均株価は
「42,200円前後」に収斂していく
ことになります。
今は、「AI関連銘柄」が相場を
引っ張っていますが、それが弾ければ
日経平均株価は大きく下落することに
なります。
そうなると、次は「Non-AI関連銘柄」
に資金が回っていくことになるでしょう。
貪欲な市場参加者は、次から次へと
節操なく触手を伸ばします。
しかし、賢明なる投資家は、安値を待ち、
虎視眈々と買い、高値でも虎視眈々と売る
のです。
[4] 日米の金利について
明日からのFOMCは「0.25%の利下げ」
を実行するでしょう。
「0.5%の利下げもあるかも」という説も
一部にはありますが、トランプ関税による
インフレがこれから本格化する中で、
「0.5%の利下げ」はないと考えています。
そして、日本は金利を上げられない
でしょう。アメリカが利下げをする中で
日本が利上げに動けば。金融市場が大混乱
になり、去年の「植田ショック」の二の舞
になるからです。
植田総裁は、ビビって何もできないでしょう。
モーション程度の軽いジャブは繰り出す
でしょうが、それは極めて一時的な効果
しか産み出しませんから。
アメリカでは「TACO」ですが、日本では
「UACO」です。
<まとめ>
インフレ圧力によって、日経平均株価は
思いのほか早く上昇トレンド入りしました
が、企業業績は、まだついてきていない
ので、近日中に自律調整に移行すると
考えられます。
下値の目処は、
<1> 43,100円−−25日移動平均線
<2> 40,000円−−節目近辺での攻防
<1> 38,250円−−15%の調整
のいずれかになるのではないかと予想
しています。
<今回は以上です。>
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