「高値では、売りはあっても買いはなし」
まずは、いつものように市況を展望します。
(執筆日時:8月16日 27時)
[1] 過去1ヶ月を振り返ります
過去1ヶ月の日経平均株価を振り返り
ますと、7月14日に付いた「39,288円」が
最安値で、7月23日に大きめの上昇をして
翌24日には「42,000円」を超えましたが、
その後、8月4日までは調整を挟んで
「39,850円」まで下がって底打ち。
そこからは6連騰となり、13日には
「43,451円」の史上最高値を付けました。
前回のこのメルマガで、
「第1四半期決算で、企業業績が
『トランプ関税の足かせ』から
脱却しているようであれば、これ
までトランプ関税のせいでコンサバ
だった企業業績が上方修正されやすい
ので、日経平均株価は『41,000円』
を少し超える水準まで駆け上がる
でしょう。」
と予想しました。
実際の市場では、この予想をだいぶ
超えて、「43,450円」まで駆け上がった
というわけです。
日経平均株価が「43,000円」を超える
水準は、現在の日本経済のファンダ
メンタルズから考えて、明らかに高値圏
です。
[2] 「期待」は「気体」
今、高値が付いている理由としては、
次のようなことが挙げられます。
・第1四半期決算の内容が、想定して
いたよりは悪くなかったこと
・トランプ関税の概要が、だいぶ見えて
きており、今後、さらなる業績の
上方修正が期待できること
・アメリカの利下げ期待でNY株に
株高期待があるから
・ウクライナ戦争が終結しそうだから
これらのことを受けて、日経平均
株価は史上最高値になりましたが、
これらのうちの最初の1つは、
「悪くなかった」というだけで、
良かったわけではありません。
そして、これ以外の3つは全て
「期待」でしかありません。
株価というのは、「期待」で上がる
性質のものではありますが、株式市場
における「期待」は、「気体」でしか
ないのです。すなわち、つかみどころ
がありませんし、すぐに消えてしまう
ような性質のものなのです。
ですから、「期待」で高値を追う
のは、とても危なっかしいのです。
定性的な「期待」に基づいて株を
買うのではなく、定量的な指標に
基づく「売られすぎ」だけを狙って
株を買えば、失敗する確率を飛躍的に
抑え込むことができるのです。
定量的な指標に基づく「売られすぎ」
を判断する材料は、PBR・PER・
配当利回りといった各種の指標と株価
チャートです。
さて、高値圏での適正な対応について
考えていく前に、ここでまず、8月15日
時点の各種の指標を概観しておきます。
[3] 8月15日時点の各種の指標
では、8月15日時点における日経
平均株価のファンダメンタルズ指標と
テクニカル指標を簡潔に概観します。
(「ストキャスティクス」を「ストキャ」
と略して表記します。)
<8月15日のデータ>
日経平均株価の終値 −−− 43,378円
日経平均のEPSの値 −− 2,432円
日経平均のPERの値 −− 17.84倍
日経平均のBPSの値 −− 27,455円
日経平均のPBRの値 −−− 1.58倍
日経平均のROEの値 −−− 8.9%
日足のRSIの値 −−− 70.86
日足のストキャの値 −− 96.68
週足のRSIの値 −−− 69.97
週足のストキャの値 −− 98.24
ドル建て日経平均 −− 294.80ドル
<コメント>
この8月15日のデータからは次の
ようなことが考えられます。
(1) 日経平均のEPSの値とPERの値
日経平均のEPSの値は、2,432円に
減っていて、
5月−−− 2,383円
6月−−− 2,457円
7月−−− 2,537円
8月−−− 2,432円
というように、7月でピークアウトして
います。
昨日までに第1四半期における企業
業績は概ね出揃っており、増益トレンド
を維持できなかったということが明らか
になりました。
にもかかわらず、日経平均株価は
史上最高値を更新しており、この株高
について、上にも述べたように、第2
四半期決算における、さらなる増益を
期待していると解説されていますが、
私は違和感を払拭できずにいます。
PERの値や、その他の指標も、
明らかに高値であることを示して
いますので、43,000円を超える水準
は単純に「高値圏である」と考えて
います。
この水準では「売りはあれども、
買いはなし」です。
(2) その他の指標
日経平均のPBRの値も「1.58倍」
で、非常に高いです。
日経平均のROEの値は「8.9%」
で、冴えません。
RSIの値とストキャの値は、
日足も週足も非常に高いです。
「こんなにわかりやすい高値圏も
珍しい」というぐらいに、日経
平均株価はハッキリと高値圏です。
(3) ドル建て日経平均株価
ドル建て日経平均 −− 294.80ドル(再掲)
ドル建て日経平均株価は、ドルを
基軸とする外国人投資家の目線から
見た日経平均株価です。
8月15日時点のドル建て日経平均
株価は「294.80ドル」で、史上最高値
です。
前回のこのメルマガの「ドル建て
日経平均株価」の項目で、
「かなり強気で想定すると)、日経
平均株価は
283.46ドル × 149.50円 = 42,377円
ということになりますので、日本
企業の企業業績が好調を維持した
場合には、理論上は、史上最高値
近辺までの再上昇が起こっても
おかしくはない、ということに
なります。
ただしこれは、『かなり強気の
想定』ですし、実際にもし向こう
1〜2ヶ月以内に日経平均株価が
「42,000円」を超える局面があれば、
そこは絶好の売りチャンスです。」
と述べました。
この「かなり強気の想定」を
超える日経平均株価が示現している
わけですから、このことからもまた、
今の日経平均株価が「わかりやすく
高値圏」であることが浮き彫りに
なります。
[4] 高値圏における適正な対応
以上のように、日経平均株価が
43,000円を超える水準は、明らかに
高値圏です。
以下で、高値圏における適正な
対応について述べていきます。
(1) 見送りもOK
株価が高値圏にあると認識した
場合は、当然ですが「買いは見送る」
ということになります。
ただし、この場合に、この行動が
正解とならない唯一の事象があります。
それは、「もっと高くなった場合」です。
たとえば、(私は「ない」と考えて
いますが、)このまま日経平均株価が
上昇し続けて、一気に45,000円や、
それ以上になる場合というのが最も
わかりやすいでしょう。
そして、もし仮にそういう事態に
なったとしても「一回見送ればいい」
だけです。
すなわち、ここから日経平均株価が
45,000円や、それ以上になる場合、
そのワンチャンスだけは見送ればいい
のです。そして次に、日経平均株価が
下がってきて、40,000円や、それ以下
になった時から再スタートすればいい
だけなのです。
つまり、高値づかみのリスクを避けた
代償として、一回転分のリターンを
取り損ねる、というだけですから、
理に適っています。また、高値づかみ
をしてしまって、その後処理をすること
に比べたら、一回見送る方が、とても
楽なことです。
(2) 戻り高値で売り上がればいい
高値圏では買いを見送るわけですが、
トントンかプラスのものは売っていく
わけです。
持ち株を全て売り切った場合には、
この(2)に述べることは該当しません
が、多くの場合、いくらかの株は
保有を継続していることが考えられ
ます。
すなわち、日経平均株価が最高値圏
にある時でも、過去の高値で買った
銘柄が、まだ買い値まで戻っていない
というような場合が、これに該当します。
このような保有株については、無理に
売りきるのではなく、保有を継続すれば
いいのです。
保有を継続しておけば、配当を受け
取ることができますから、買い値に戻る
までは、それこそ、「長期保有」を決め
込んでおけばいいのです。
そして、もしも想定外に日経平均株価
が上がって、これらの保有株がトントン
かプラスになったら、順次、売っていけば
いいのです。
ですから、キャッシュポジションが
100%になっている人以外は、想定外の
株価上昇によるメリットも享受できる
のです。
これが、「売りはあっても、買いは
なし」の正しい姿勢です。
(3) 当面の下値のメド
今後の下値のメドは、最も強気で
観ても、日足の25日移動平均線に
接する辺りではないかと予想して
います。
8月15日の時点で言えば、それは
「40,907円」です。今年4月7日の
トランプ関税ショック以降、日経
平均株価は、日足の25日移動平均線
に接するか、少しだけそれを割った
ところで下げ止まって切り返しして
きています。
(それらは、6月2日・6月13日・
7月14日・8月4日です。)
ですから、これまでのインフレ
圧力が急激に減じるような事態が
勃発しない限りは、この「日足の
25日移動平均線」が当面の下値の
メドになるでしょう。
[5] 大本営発表
8月15日は終戦記念日でした。
第二次世界大戦中に、当時の日本
政府(軍部)がさかんに行っていた
のが「大本営発表」です。
これは、政府が行う「真っ赤な嘘」
の発表です。
大本営発表 = 真っ赤な嘘の発表
です。
日本の戦況は、明らかにジリ貧
または各地で大敗を喫していたにも
かかわらず、国民には、「日本軍は
勝ち進んでいる!」と発表していた
のです。
「国威発揚」の美名の下に、真っ赤な
嘘の発表をし続けて、国民を騙し続けた
のです。
このような過ちは決して繰り返しては
ならないのに、80年も経った今日の日本
でも、「大本営発表」だらけです。
(1) 物価上昇率は「3.4%」!?
(2) デフレ脱却は、まだ完全ではない!?
(3) コメの輸入は食料安全保障の観点から
認めてはならない!?
(4) 消費税は社会保障費に充てられている!?
などなど、枚挙にいとまがありません。
これらについて、簡潔にコメントします。
(1) 物価上昇率は「3.4%」!?
バカ言ってんじゃないヨ!ってハナシです。
生活実感として、物価上昇率が「3.4%」
程度だと感じている国民がどれだけいる
というのでしょうか?
(今日も、京都に大文字焼きを観に行って、
ついでにリフレクソロジーのお店に入ろうと
して、価格を見たら、「30分 5,500円」で、
「10分追加が 1.800円」だったので、やめて
しまいました。
つい、1〜2年前までは「10分 1.100円」
が相場だったのが、今や「10分 1.800円」
になっています。京都ですから、イン
バウンドの購買力が強いせいもありますが、
それにしても、1〜2年で「63.4%」も
上がっているのです。
どこが「3.4%」なのでしょうか?)
しかも、去年からの1年間でお米の価格
は、最大時は100%超の値上がり率で、現在
も、やはり対前年同月比で「75%」は
上がっています。
こんなことが含まれた上で、物価上昇率が
「3.4%」程度のわけがないじゃないですか!
では、なぜこんなに低い数字を「大本営
発表する」のか?
それは、実態に合わせた高い数字を発表
してしまうと、「これは強いインフレだ!」
ということになり、金利を大幅に上げなけ
ればならないという議論が巻き起こって
しまうからです。
政府が莫大な借金をしていて、日銀が
莫大な国債を抱えている中で、金利を
大幅に上げたら、経済が破綻しちゃう
から、金利は上げられない。ですから、
実態に合わせた高い物価上昇率の数字
を発表するわけにはいかないのです。
(2) デフレ脱却は、まだ完全ではない!?
いつのハナシ!?ってことです。
資産インフレは2013年の年初から
始まっていて、もう12年半も経って
います。
株や不動産は持っていないから
関係ない!?
給料や物価は上がっていない!?
いやいや。
株や不動産は持っていない方々には
資産インフレは関係ないにしましても、
2022年2月のウクライナ侵攻以来、
物価は着実に上がっていますし、給料
についても、生産性の高い人の給料は
何年も前から、めっきり上がっています。
今さら「デフレ脱却」とか「デフレ
に戻るかも」などと言っている人は、
置いてきぼりを喰らうだけです。
(3) コメの輸入は食料安全保障の観点
から認めてはならない!?
いや。票田である農業関連の人達を
保護したいだけのことです。
アメリカなどの大規模農場の生産性
には敵いっこないのですから、無理な
保護政策は、やめた方がいいです。
それでも、ブランド米などは生き残る
でしょうし、トウモロコシや小麦などは
すでに輸入依存度が非常に高いのに、
コメだけを保護する意味はないのです。
なぜコメについてだけ「食糧自給率」
にこだわるのか、全く意味不明です。
石油などは、自給率が1%とか2%
なのに、そのことは問題にせずに、
「コメの食料安全保障」だけにごだわる
のは完全にナンセンスです。
(4) 消費税は社会保障費に充てられている!?
消費税が導入された1989年から現在
までの37年間における消費税収の総額
よりも、同じ期間における所得税と
法人税の減税分の総額の方が多いのです。
ですから、消費税は「所得税の減税と
法人税の減税に充てられて」いて、社会
保障費には1円も充てられていません。
(5) 大本営発表に騙されてはいけない
このように、大本営発表は、真っ赤な
嘘の発表なので、騙されてはいけません。
情報リテラシーを高めて、各自の
経済情勢を適正な方向に向けていくこと
を常に心がけていかなければならないの
です。
戦後80年経っても、全然変わっていない
「日本の大本営発表体質」を見抜き、
そういうものと決別して生きていかないと、
時代に翻弄されるばかりとなってしまい
ます。
<今回は以上です。>
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